2014年9月6日土曜日

ファンタジーを部隊にしたサイエンス・フィクション文学の起源

2014/09/04 木曜日
「他の世界を知っているのか? この星が単なる巨大な宝石だと信じていないのか?」
――“ランフマールの剣 / Swords of Lankhmar”Fritz Leiber
Illustration by Caio Maciel Monteiro 

鉄神 / Iron Godsアドベンチャー・パスの第一シナリオPathfinder Adventure Path #85: "創造の火 / The Fires of Creation"をリリースしたし、サイエンス・フィクションの要素をファンタジー世界に組み合わせた文学の起源について話すため、少し時間をもらうのも悪く無いと思う。

Illustration by Ian Llanas
鉄神アドベンチャー・パス自身の起源はかなりはっきりしている。ゴラリオンで発達した技術の種は作成時にまで戻る。ニューメリア / Numeria、アルケンスター / Alkenstar、カラモス / Karamossの赤砦 / Red Redoubt、フー / Khoの遺跡群は、内海地域の他の地域に比べるとかなり異なる技術段階のものを含んでいる。ゴラリオンはわずかながら、古代のロスト・テクノロジーのかけらが残存する世界だ。この世界のある面を探索するアドベンチャー・パスが少なくとも一つあるのは理にかなっている。これはロールプレイング・ゲームにおけるサイエンス・フィクションとファンタジー要素の融合における、長い伝統に従ったものだ。このようなことは、この趣味が始まってほぼすぐの時期にまで遡ることができる。

RPGという趣味はジャンルのはっきりとしない物語の長い伝統の上に作られた。少なくとも、1700年台の初期に遡る。初期の空想小説はサイエンス・フィクションとファンタジーの差を定義することはほとんどなかった。ジョナサン・スウィフト / Jonathan Swiftが1726年に出版した小説、ガリヴァー旅行記 / Gulliver's Travelsは風刺小説だったが、ほぼ間違いなくサイエンス・フィクションとファンタジーを混ぜ込んだ初期の小説といえる。よく知られているファンタジー種族、リリパット / Lilliputianとブロブディンナグ / Brobdingnagian以外にも、主人公のガリヴァーは空飛ぶ都ラピュタ / Laputa(純粋な科学思考とフーのはっきりとした前例)、そして魔法を技術と大きく置き換えた魔術師の国(グラブダブドリッブ / Glubbdubdrib)。

ほとんどの現代のファンタジーと同じではないけれど、先進的な技術と魔法を混ぜ込んだ初期の思索的な小説はほとんどが「失われた世界」ジャンルだ。これは現在のキャラクターが他の文明を知らないファンタジー世界を発見するというもの。「失われた世界」の本の中では、発見は冒険の旅の結果である(例えば、ジュール・ヴェルヌ / Jules Verneが1864年に著した、地底旅行 / Journey to the Center of the Earthはこのジャンルの初期の例と言える)。でも別の場合もあって、この発見は全く偶然の出来事であることもある(エドワード・ブルワー=リットン / Edward Bulwer-Lyrttonが1871年に著した小説、来るべき種族 / Vril, the Power of the Coming Raceが挙げられる)。

似たようなものに星間恋愛劇がある。これは一般に外国が他の国になったものだ。この例はエドガー・ライス・バローズの火星シリーズ / Barssom(火星のプリンセス / A Princess of Marsから始まり、以後シリーズ化された小説群)で、全くのサイエンス・フィクションだ。飛行船やラジウム銃もある。でも、ほとんどの衝突は剣術で解決されるという事実が、ファンタジーが根幹にあることを示している。科学と魔法が混じり合っていることは、バローズの関連小説ではもっとはっきりとしている。最も明らかな例は"The Wizard of Venus"で、惑星探索者のCarson Napierが超常的な力を名ばかりの金星の魔術師から学ぶというものだ。

1930年代~1970年代の小説の多くはファンタジーとサイエンス・フィクションを一つの舞台で混ぜ合わせている。それらの多くは火星シリーズの伝統と星間恋愛劇にインスピレーションを得たものだ。マイケル・ムアコック / Michael Moorcockの小説はファンタジーRPGを舞台に独自の影響力を与えたものの一つであり、高次科学の要素をいくつかのケースで取り込んでいる。最も広範に考えれば、ホークムーン / Hawkmoonの冒険(エターナル・チャンピオン / Eternal Championの具現化の一つ。より知られたメルニボネのエルリック / Elric of Melnibonéとつながっている)では、かつて世界が崩壊したヨーロッパが登場している。魔法はありふれたもの。でもソーサラー科学者も古代の高次技術に触れていた。Black Jewelはホークムーンの敵がその動きを把握するために埋め込んだものだ。アーシュラ・K・ル=グウィン / Ursula K. Le Guinが1966年に世に出した小説、Rocannon's Worldは直接的な魔法の要素はほとんど無かったけれど、高次的な知識を持った科学者の旅が、階級制と剣士のエイリアンの国を通して説明されていた。ポール・アンダースンの1961年の小説、Three Hearts and Three Lionsでは現代の「リアルな」世界からやってきた主人公が登場し、最後には魔法とトロルの並行世界を現実のものとしてしまう。

 サイエンス・フィクションの要素が現実のものである場合、純粋なファンタジー世界が確立されるのは一般的ではないが、全く知られていないと言うわけでもないということになる。ロバート・E・ハワードのファンタジー・キャラクター、コナン / Conanは1933年の短編"The Tower of the Elephant"でエイリアンと遭遇する。フリッツ・ライバーの典型的なローグとバーバリアンのチーム、ファファード&グレイ・マウザー / Fafhrd and the Gray Mouserは彼の1968年刊行の小説、ランクマーの二剣士で時間旅行者に出くわす。C・L・ムーア / C.L. Mooreとヘンリー・カットナー / Henry Kuttnerの1937年の物語"スターストーンを求めて / Quest of the Starstone"では時間旅行と星間旅行の両方が行われる。ファンタジー世界の剣士Jirel of Joiryが、彼女自身の遠く離れた未来の火星の宿にいる密輸入者にして悪党のNorthwest Smithと取引をしなければならない状況となる。(これら特定の状況がどうかみ砕かれたのかに興味があるなら、暗黒神の口づけ / Black God's Kissを読むといいだろう。本書はpaizo.comで入手可能だ。)

高次科学がわずかに加えられたファンタジー小説の存在は、考えを変えねばならないと感じるから2つのアイデアを混ぜるのが嫌な人たちにしてみれば、何の理由もない。でも他の人たちがそういった選択肢を愛する理由の一つは、ファンタジー・ゲームにちょっとだけサイエンス・フィクションを混ぜ込むことは理由の一つなのだ。

Owen K.C. Stephens
Developer
The Literary Origins of Science Fiction in Fantasy Settings
元記事:http://paizo.com/paizo/blog/v5748dyo5lgh1?The-Literary-Origins-of-Science-Fiction-in

















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