2014年7月1日火曜日

Meet the Iconics: クロウ

2014/06/26 木曜日



 Illustration by Wayne Reynolds
今日紹介するのはAdvanced Class Guideの新しい象徴キャラクター(訳注:iconic character、クラスを象徴する公式キャラクター)は、ブラッドレイジャーのクロウ。自分でブラッドレイジャーのキャラクターを作成する詳細なルールは8月発売のAdvanced Class Guideの登場を待たないといけないけれど、クロウは今年のFree RPG Dayシナリオ、Pathfinder Module; Risen from the Sandsでも登場する。クロウはまだ告知されていない、2015年2月発売のPathfinder Adventure Card Gameセットでもプレイ可能なキャラクターになる予定だ。

 クロウは初めての馬集めに出発するのを待っていた時に、5週間に渡り毎晩同じ夢を見た。それは全く同じように始まり同じように終わった。そのたびに嵐がやってきた。それは雷鳴を鳴らしながら峡谷を南へと抜けていった。そのたびに体はぐちゃぐちゃに踏み潰されて、汗びっしょりで目覚めるのだ。

 毎晩のことだ。

 クロウは燃えるような秋の夕暮れ、ストーヴァル平原 / Storval Plateauで雷雨の降りすさぶ中、吉兆の印の元で生まれた。部族のシャーマンに不確かな予言を告げられた後、彼がいつか目を見張るほどの力を持つだろうという予言を除いては、この聖なるものはこの新生児に予言することを望まなかった。

 若い頃からクロウは最高の馬主として修行し、いつの日か彼は優れた訓練士になることが誰の目にも明らかとなった。彼は父と母からだけでなく、叔父叔母からも学び、さらに動物を愛するシュリーキリィ=クァ(訳注:ショアンティの部族の1つ、動物との強い共感を持つ)からも教えを得た。彼の家族は馬の扱いを心得ていた。彼らは素晴らしい馬をスクラ=クァ(訳注:ショアンティの部族の1つ、内向的で熱と炎の扱いに長ける)のバーンライダー / burn-riderに多く提供したことさえあった。この家族の勇敢な馬を手に入れるべく、何マイルもの距離を超えて彼らを探すべく異邦人が訪れた。

 クロウの父は野生の馬を捕らえ止める技術でストーヴァル平原中にその名を知られていた。また母は彼女自身の子供であるかのように自然の顔を読み取ることができた。クロウの両親は共に馬を訓練し、その生活に満足していた。しかしその息子は次第に手に負えなくなっていった。

 若い頃、クロウはどのように始まったのか思い出せない喧嘩が原因でしばらく戦った。彼はからかわれると心がざわめくのだ。耳に血のざわめきが聞こえ、最後には彼がそれを呼び起こす。部族の人々はこの少年を警戒するようになった。あまりにも諍いの類いが多かったために、彼の母は何故そんなに起こるのか問いただし始めた。クロウは思い出せないと再び主張した。彼がそれぞれの戦いの前に最後に聞いたのは、今まさに起きようとする嵐だった。

 さらに大きな体格に育つと、クロウはショアンティの伝統的な戦い方を学んだ。彼は祖先の武器の扱いを教わり、人々とその生活を守る方法も学んだ。クロウはカタールを学び、アースブレイカーに熟達し、母から受け継いだ魔法の術と自然世界について勉強した。ごく稀に起きる記憶の断絶によって、彼は指導の最中に年長者に挑み、挑まれた。部族の中には単に彼の不作法の言い訳なのだと考えるものもいたし、多くのものはその噴出する暴力のことで、彼の両親を非難した。

 クロウは長い外出にはまだ若すぎると考えていたが、彼の父は息子に自制心を教えることになるだろうと、息子を初めての馬集めに向かわせることにした。群れは数週間の内に渓谷で一箇所に集まるだろう。クロウの父はもう何体か馬を集めることができればいいと考えていた。何より珍重されるのは、ブライト・スター / Bright Star――過去5年の内に彼の手から逃れ続けてきた雄馬――の子馬だ。1~2頭でも子馬を集めることができれば、家族の財産の大きな蓄えとなるだろう。

 クロウ、父、他に7人の男女が部族から離れ、三日間移動した。馬は予測できる獣だ。そしてショアンティは群れが高地で移動する場所を知っている。群れは焼けつく大地を分断する川が乾燥して平らになるまでに、渓谷を走り抜ける。群れがやってきた時に、狩人がロープと輪縄の準備をしておく。

 クロウの忍耐を試すため、父はこの若者を渓谷の入り口の前に送った。彼は少年に待機し、渓谷をこだまする蹄と鼻息の音を聞くよう伝えた。彼が自ら御することのできる馬に輪を投げるよう伝えた。クロウがこの仕事に集中し、嵐の破壊の音を聞くよう頼んだ。

 クロウは平らな暗褐色の岩の上でかがむと、恐怖に震えた。彼の耳に聞こえるのは遥か遠くにある嵐の音のみだった。低いうなり声が耳の中をつんざいた。彼は聞こえたものが自分の恐怖であり、自分の怒りであると悟った。これが渓谷だった。これが彼の死んだ夜だった。何故ここから立ち去ることができないのだろう? ただ逃げればいいだけなのに?

 伝統だった。

 彼の耳の中で響く音が変化した。それはもはや彼の中だけのものでない。雷鳴は渓谷中に響き渡っていた。群れは近づいてきていた。クロウは空を見た。黒々としたくもが南から生じ、沈もうとする太陽を覆ってしまう。誰かが誰かに叫び、輪縄を手に位置についた。何百もの馬が渓谷を埋めた時、クロウは慌てて指定された場所へと這い進んだ。蹄が地面を打ち鳴らす音は、渓谷の岩壁に激しく響き渡った。

 嵐が来た。雷鳴が渓谷中に轟き激しい音を立てる。稲妻は白い閃光で赤茶けた岩壁を照らした。

 嵐が過ぎ去った後、クロウは目を覚ました。従兄弟が腰の上に座り、顔を叩いていた。彼が周りに引き起こした凶行のために彼は非難された。何体もの馬が死体となって倒れ、狩団の半分が川底に打ちのめされて倒れていた。彼らは言う。クロウのせいだ、嵐など来なかった。クロウが全てをやったのだと。

 血に濡れ、混乱し、不名誉に晒されること確実となったクロウは、夜に出会った。夜明けはクロウの新しい人生――伝統という重荷のない人生、恐怖のない人生――の始まりとなった。

Adam Daigle
Developer
Meet the Iconics: Crowe
元記事:
http://paizo.com/paizo/blog/v5748dyo5lg8h?Meet-the-Iconics-Crowe
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 ブラッドレイジャーの象徴キャラクター登場
 血に翻弄され、それを受け入れていくのは、ブラッドレイジャーのロールプレイの一つとして格好いいですね!

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